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ツイッターのフリーワンライ企画に参加させていただきました。
斜日の陽は影を伸ばして 「お前ほんと買い過ぎ」 「すまんな」 「まあしょうがねえけど」 人数いるし食うやついるしな、と言いながら、シュテンの横を歩く。 手にはソフトクリーム。買い物に付き合ってもらった礼にとシュテンがくれた。 子供みたいに扱われてむかついたけど、まあ貰っておいてやった。 「今日のメシなに?」 「肉じゃがだ」 「オレじゃがいも嫌い」 「好き嫌いをすると大きくなれないぞ」 「イモくそまずい」 「ファストフードのポテトLを軽々平らげていたのはどこぞの誰だったかな」 「あれはいいんだよ。塩きいてるやつは美味いし」 うるせーな、と毒づきながらちらりと横の男を窺う。目が合った。 「肉を多めにしようと思っているんだが」 「じゃあ食べる」 「そうか。ならば良かった」 「肉だけな」 「食べてもらえるよう努力しよう」 微笑まれた。 くそ。 この野郎、顔も性格も体格もいいとかほんとこいつ恵まれ過ぎだ。 「……袋いっこ持ってやる」 「鍛錬の一環だ」 「オレが持つ。お前これ以上マッチョになってどうすんだよ」 シュテンの持っている袋に手を伸ばす。 照れくさそうな顔をしたシュテンは両手の袋をちらりと見て、軽いだろうと思われる方を挙げてみせた。持ってくれ、みたいな顔。 「そっちで妥協してやるよ」 「ありがとう、ラセツ。とても助かる」 「むかつく」 袋を受け取ろうとして手が触れた。 相変わらずごつい手だ。 袋を掴んでも一向に離す様子がないからジト目でシュテンを見上げると、小さく「手を離すのが惜しい」なんて。 「うるせ!はやく寄越せ!」 「やっぱり今日はやめておこう。次に一緒に来た時に頼んでもいいか?」 「……ちっ」 「すまないな。さあ帰ろう、遅くなるとどやされる」 夕暮れの空の下、後ろの方に伸びる影を見送って。 視線を戻したら夕暮れ色の瞳が緩んでいるのに気がついて。 なんだか少し悔しかったし耳が熱かったから、袋を掴んだままシュテンを引っ張った。 手が触れている。手を繋いでいるような、繋いでいないような。 長く続いてほしいような、だけど恥ずかしいような。 「早く帰るんだろ、早く歩けよ!」 「少し疲れた、引っ張ってくれ」 「どの口が言ってんだこの野郎!」 ……でも、こうやって間接的に手を繋いで歩くなんてしたことがなかったから。もしシュテンが俺と同じように思っているんならいいな、とか、思わないわけがない。 PR この記事にコメントする
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