× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 つい先日、うっかりミスがあるまま入稿してしまった本の処分どうしようか迷っております。 窓際で昼の日差しを浴びながら、部屋の奥に視線を向けた。 あまり陽に当たるのが好きではないんですよ、って言うそのひとは、本から視線を離さない。 読みふけっているみたいだ。 構ってもらえなくてつまんないけど、でも本を読むのはこのひとの仕事のようなものだから、俺はおとなしく窓際で日差しを浴びていた。 海辺の日差しはとても強いけれど、薄いレースのカーテンに遮られてとても具合がよくて、思わずうとうとしてしまう。 蜂蜜色の髪は、日に透けるとすごくきれいなんだ。 赤い瞳はまるでルビーみたい。 きれいなひとなんだ。 俺の自慢。 「……そんなに見られては集中できないんですが」 「えっ」 「わかりますよ。あなたの視線は眩しい」 「ごめん」 「おや、もうこんな時間ですか。そろそろお茶にしましょうか」 本を閉じて、眼鏡の奥の瞳が優しく笑む。 一緒に時間を過ごすようになってはじめて、こんな顔をしてくれることを知って。 まだまだ知らないことばかりだから、その一つ一つが新鮮で、もっと知りたくなる。 「なージェイド」 「何ですか?」 「今度さ、一緒に海を見に行こうぜ」 「海なんてそこらから見えるじゃないですか」 「うっ、そうだけど」 「……仕方ないですねえ。いいですよ」 「ほんと?」 「ええ、本当です」 デートでもしましょうか、と続けて、ジェイドは微笑む。 俺はそれに大きく頷いて、ソファに座っているジェイドの隣へ。 「おや?もしかして構ってほしいんですか?」 緩められた瞳に楽しそうな色が浮かぶ。それを見るたびにうれしくなる。 もっとジェイドのいろんな顔が見たいんだ。 「……わかってるくせに。ジェイドはずるいよ」 「大人はみんなずるいんですよ」 俺の頭を撫でて、そしてそのまま額にキスされて。 うれしいのと照れくさいので真っ赤になりながらジェイドに体を寄せる。 まるで宝物にでも触れるように優しく抱き寄せてくれるジェイドがすき。 「おや、困りましたね。これではお茶が淹れられません」 「離さないのジェイドだろ」 「それではもう少しだけ」 「……ん」 見上げたあかいろの瞳に映った俺の顔はとてもうれしそうで、ちょっとこんな風に見えてるんだったら恥ずかしいかも。 きっと俺の目にも、微笑むジェイドの顔も映っているんだと思うけど、ジェイドはどんな気持ちでいるのかな。 end. アビス/ジェイルク PR この記事にコメントする
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