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あけましたね。おめでとうございます。
今年も細々とこちらで更新していきますのでどうぞよろしく。 年末年始、年を重ねるにつれて忙しさが増していく~…実はまだまだ遊びたいわたくし。
【馬鹿な子ほどかわいい】
「トラルどうしよう、おれ、変な夢見ちゃったよ!」 朝一番のバカでかい声は、二日酔いの頭に強烈に響いた。 がんがんと痛む頭を押さえて、声の主を見る。 ほぼない眉を八の字にしながら、緑のとさかが揺れていた。 「ねえ!初夢が変な夢だったときってどうしたらいいの!」 「うるせえ……ちょっと黙ってろ」 「一年の計は元旦にありってシュテンがいってたもん!」 バンナの高い声は、二日酔いの頭にはまるで鈍器だ。 耳鳴りもしそうなほどなんだが、当の本人にはまるでその自覚がない。 馬鹿なんだ。とにかく馬鹿なんだこいつは。 「今日は元旦じゃねえ」 「あ、そっか」 「わかったらおとなしくあっち行ってろ……」 しっしっと手で追い払うしぐさをすると、眉間のしわが深くなる。 何が不服だ。お前の声が今の俺にはきつい。ただそれだけだ。 少し静かに休ませろ。 「トラルどうしたの?頭いたいの?」 「痛いからあっちいってろ」 「俺なにかできることある?」 「あっち行ってろ」 「……わかった……」 しゅんとうなだれてバンナは俺から離れた。これでやっと静かに過ごせる。 別に嫌いなわけじゃねえ。いつもなら構ってやれるが今は無理だってだけだ。 バンナがそれを理解してくれればいいんだが。 しばらくソファで横になっていると、トラル、と小さく呼ぶ声がした。 返事をしないでそのままじっとしていると、顔を覆っていた手も前髪もどけられて、そして額に冷えたタオルが置かれた感触がした。 バンナなりに気を遣ってくれたらしい。 「はやくよくなってね、トラル」 呟かれた言葉と頬に押し当てられた柔らかな感触。 熱さからきっと相当照れているんだろうと思う。だが、目は開けない。 今時女でもこんなことするやついないぜ。 馬鹿でうるさくて、でも純粋でかわいいバンナにどんな仕返しをしてやろうか。 昨晩飲みすぎなければ今すぐにでも押し倒せるのにと少しだけ後悔しながら、遠ざかる足音を聞いた。 イナクロ/トラバン PR この記事にコメントする
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