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SYN ★~sinと愉快な仲間たち~★
腐女子・BLという単語が判らない・嫌いな方は逃げて!妄想過多により健康を害する恐れがあります。
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テイマーちゃんのトトリと光奏師のカナタの話をいろいろ考えてた。
ユートとカナタを見守るおねえちゃんみたいな。かわいいよー







「ねえ、マーシャ。聞きたいことがあるんだけど」
 槍のお手入れをしているマーシャに声をかけると、マーシャは手を止めてうちのほうを向いてくれた。
 日に透けた金髪がきれい。砂埃でぎしぎしになるのよね、って言ってたけど、さらさらの金色。
 実りの秋みたいで大好き。
「いいわよ。どうしたの?」
 隣においで、っていうみたいにぽんぽんとベッドをたたいてくれたから、うちはマーシャの隣に座った。

「あのね、ゆーちゃんとカナタのことなの」

 ケルビーが足元に伏せて、尻尾をぴこぴこ動かしてる。
 マーシャは知ってる。うちの相談がたいていゆーちゃんとカナタのことなの。
 うちはギルドのみんなが大好き。
 だからいろんなものが見える。きっと、見なくていいものまで見えてる。

「下世話な話をしてもいい?」
「ええ。もちろん」
「ゆーちゃんとカナタがエッチしてるところによく遭遇しちゃうんだけどね…」

 マーシャの顔が真っ赤になった。




「ええとね、そういうことなの」
「……つまり、ユートが受け身すぎてってことね」
「うん。ゆーちゃんすっごい男!って感じなのに、そういうときだけへたれちゃうのかな」
「他人の恋路に口を出すのは御法度っていうけど…」
「うちが心配することじゃないんだけど、もしうちがカナタだったらねー」
 マーシャは眉間にしわを寄せて、うーん、って小さく唸った。
 困らせちゃってごめんね、マーシャ。
「カナタにそれとなく聞いてみたらいいんじゃないかしら。それとなく」
「それが一番いっか。ありがと、マーシャ」
「あまり頑張りすぎないでね、トトリ」
「うん。うちね、ゆーちゃんもカナタも大好きだから、うまくいってほしいんだ」
「私も同じよ。ユートとカナタ、うまくいくといいわね」

 槍のお手入れを再開したマーシャを部屋において、うちはポーションの買い出しに。
 古都の喧騒はいつもたのしい。きらきらのお野菜や、かわいいケーキ、きれいな香水瓶。
 うちの村にはなかったものがたくさん。

「あっ。ケルビー、とまって」

 うちを乗せて走ってくれてたケルビーの首元を軽くたたいて、ゆっくり歩きにさせた。
 古書堂の中に見慣れた姿。カナタだ。
「カナタ!」
 呼びかけると、カナタは本を閉じてこっちを見て、そして手を振ってくれる。
 ちょっと待っていてください、って手をストップにして、カナタはお会計をしてお店から出てきた。
「トトリさん。どうしたんです?」
「ポーション買いにいくとこだったの。ちょうどカナタが見えたから」
「そういえば、僕もポーション切れかけでした。ご一緒してもいいですか」
「うん。一緒にいこ」
「ありがとうございます」

 ケルビーから降りて、二人で古都を歩く。ギルドホールまではまだ遠い。
 本を小脇に抱えているカナタは、うちよりもちっちゃくてかわいくて、まるで弟みたい。

「ねえ、カナタ。聞きたい事があるんだけど」
「何ですか?」
「ゆーちゃんのことで不満に思ってること、ない?」
「ユートさんのこと?……うーん、特には」
「カナタはゆーちゃんと付き合ってるんだよね」
「つっ」
「ゆーちゃんちゃんと誘ってくれる?押し倒してくれる?」
「と、トトリさん!と、とりあえずカフェに入りましょう」

 耳まで真っ赤にしたカナタは、慌ててうちの手を引いて近くのカフェに入った。

「トトリさん。テラス席でもいいですか?」
「うん。うちはどこでも大丈夫」
「じゃあ、僕はアイスティーで。トトリさんは?」
「うちはオレンジジュースがいいな。ありますか?」
 店員さんがうちらを案内してくれながら、「ございますよ。アイスティーとオレンジジュース、承りました」ってにこやかに挨拶してくれる。
 日差しを遮るパラソルが、カラフルな花を咲かせてる。笑顔の人が多いなあ。


「トトリさんはどこまでご存じなんですか……」
「ゆーちゃんとカナタがエッチしてるのは知ってるよ」
「うう……」
「ごめんねなんだけど、時々ドア半開きで見えちゃうときとかあって」
「あー……」
「いつもゆーちゃん受け身だよなって思ってたの。もしかして、ゆーちゃんが女役なの?」
「違います」
「だよね」
 周りの熱さで、飲み物の氷が溶けて、からん、って音を立てた。
 オレンジジュースを一口飲んで、カナタの後の言葉を待つ。
「……あの、皆にはいってないんですけど、僕……獣人なんですよ」
「うん、知ってる」
「えっ」
「うちサマナーの修練も積んでるから、神獣のにおいってわかるんだ」
「そうだったんですか」
「カナタから、微かだけど神獣の気配がするからもしかしてって思ってたんだ」
「そうですか。トトリさんにもっと早く話しておけばよかったなあ」
 カナタは安心したように眉間のしわをなくして、やっと笑った。
 ゆーちゃん以外に言えなくてストレスたまってたんだろうなあ。

「僕自身も僕のルーツを知りません。でも、実験動物として扱われるうちに、獣人には二種類いるってことが分かったんです」
「二種類?」
「はい。獣人はいわば中途半端な存在なんです。だから、自分で自分の力を制御できなくなる時があります」
「そっか。神獣ほどコントロールできないんだ」
「コントロールできない力が二種類あるんです。それを僕は、暫定的に”狂気”と呼んでいます」
「狂った力……」

 手に負えない神獣が暴走するのを、ロマの村で一度だけ見たことがある。
 カナタはきっと、あのことを狂気って呼んでるんだろう。自分の中に、よくわからない力があるのってきっと、とても怖いことだと思う。

「僕の友人たちは、皆凶暴性を増しました。でも僕は違ったんです。同じ獣人なのに」
「凶暴にならなかったの?」
「はい。僕は、フェロモン異常を引き起こすタイプだったようです」
「うち言葉知らないから、知ってる言葉でいうよ。それって、エッチになるってこと?」
「エッ……そう、です。異性同性関係なく作用するようでした」
 カナタは淡々と話していく。きっと、すごくつらかったろうに。
 好きでもない人たちにまでそれが作用して、きっと嫌なことだってたくさんあったろうに。
 うちよりもちっちゃくて、かわいくて、それなのにずっと大人びていて。
 カナタは無理やり大人にされちゃった子どもなんだ。

「そっか。だからゆーちゃんはカナタを選んだんだね。悪い人たちにカナタが襲われたりしないように」
「そう、なんでしょうか」
「でも、ゆーちゃんは今までカナタを襲ってきた男と一緒に思われたくなかったんだ……」
「どういうことですか?」

「カナタ、今までいろんな人にいろんなことされて生きてきたでしょ?」
「否定はできません」
「だからね、力の強い自分がもしもカナタを押し倒してしまったら、そういうこと思い出してカナタがつらくなっちゃうかもしれないってきっと思ってる」
「……そんなこと」
「ゆーちゃんは騎士だから、人を守る騎士を目指してるから、なおさらカナタを傷つけるようなことをしたくないって思ってるんだと思うよ」
「……トトリさんはユートさんが好きなんですか?」
「うん、好き。でもね、カナタがゆーちゃんに向ける好きとは違う好き」
 家族の好きだよ、というと、カナタは寂しそうな顔をした。僕は家族を知らないんですって。
 だから、仲間の好きだよって言い換えたら、なんとなくほっとしたような顔になった。

「先ほど読んでいた本なんですが、狂気の抑え方が記されていました」
「ってことは、カナタが楽になる方法ってこと?」
「はい。僕の場合は、同性のパートナーと番うことが一番の抑止方法になるみたいです」
「番うってことは、結婚するってこと?」
「……そうなれれば一番いいんですが」
「ゆーちゃんだったら一生幸せにしてくれるよ?」
「そう、なんです。わかってるんです。だから余計につらくて」
「なんで?」
「ユートさんは人を幸せにできる人です。僕なんかより、トトリさんやマーシャさんと結ばれたほうがきっと」
「なんで?ゆーちゃんはカナタを選んだんだよ。カナタと一緒にいなきゃ、ゆーちゃんの幸せはどっかになくなっちゃうじゃない」

 カナタはうちよりもずっと頭がいいし、大人っぽいけど、だからいろいろ考えすぎて遠すぎる遠回りをしちゃってる気がする。
 ゆーちゃんとカナタには幸せになってほしい。カナタはゆーちゃんとずっと一緒にいたいって思ってて、きっとゆーちゃんもそう思ってる。
 だったら何を遠慮することがあるんだろう。

「ねえ、カナタ。ゆーちゃんに言ってみなよ」
「えっ」
「”僕、ユートさんになら何をされても…その、うれしいから……”」
「言いません!今の僕の真似ですか!」
「似てたでしょ?」
「似てませんよ!」
 またまた顔を赤くしたカナタは、照れ隠しみたいに思い切りアイスティーを吸ってむせてしまった。こういうところがきっとかわいいんだよね。ね、ゆーちゃん。
「……でも、僕だって」
 オレンジジュース、ちょっと水っぽくなっちゃったな。
 先に飲んじゃえばよかった。

「狂気に侵されてなくたって」
「エッチしたくなるときあるんでしょ?」
「トトリさん!ストレートすぎます!」
「カナタ。それって、恋人として当然の欲求だと思うよ。ゆーちゃんもきっとおんなじ。だから、ちゃんと気持ち伝えてあげて」

 ね?と念を押すと、カナタはうーって唸って黙ってしまった。
 ゆーちゃんは色恋沙汰にはすっごく鈍感だからなーってシンが言ってたことがあったけど、今カナタの話を聞いて、やっぱりそうなのかもって思い始めてきたし。
 ほんとはカナタの気持ちに気づいてそれを汲んであげられたらいいんだけどね。

「……あの、トトリさん」
「なに?」
「……うまく言えないんですけど、聞いてくれてありがとうございました」
 ちょっとほっとした気がします、って言って、カナタはアイスティーを飲んでしかめ面。
「薄まりました」
「うちのジュースも。そろそろポーション買って帰ろっか」
「はい」
「今日はうちのおごりね。話しにくいこと話してくれてありがとね」
「女性に払わせるなんて、男としてどうかと……僕が払いますよ」
「カナタが来てから、うち弟ができたみたいで毎日楽しいの。だからお姉ちゃんが払います!弟はいうことを聞きなさい!」
「……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとうございます、お姉ちゃん」
「それでよろしい。じゃ、いこ!」
「はい!」

 なんだか前よりすこしうちとカナタの距離が近くなったかな、なんて。
 やっぱりカナタには幸せになってほしいな。うちらのギルドにきて、恋人ができて、今までの分もたっくさん幸せになってほしいな。









書きたいことしかなくてすごい大変なことになった

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