× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 あまりにバシュヴァンが尊すぎたのでバシュヴァンの小話など。 ついぞ先に言ってたネタなのでアレ。
みやげもの
「バッシュ、ただいま!」 いつものように窓から侵入してきた空賊を抱きとめた。 腕の中で太陽のように笑うきみを見て、俺の頬も勝手に緩んでいく。 「おかえり、ヴァン」 使命を果たして、俺はアーシェ様の傍付きの騎士を拝命した。 ヴァンはダルマスカに残るより、空賊として空を飛び回る道を選んだ。 心を通わせた相手が遠くにいってしまうのは正直な話寂しかったが、俺のほうが大人であるゆえそんなわがままを言う立場にはなかった。 だがそれでも、ヴァンは俺の部屋を訪ねてくれる。 刺激的な土産話は、あの旅を思い出させた。 「今回はどのくらい滞在するんだ?」 「うーん。まだ決めてない。しばらくいるよ」 「そうか。それは嬉しいな」 「うん。たまには一緒にいなよって、パンネロにも言われたし」 「彼女は本当に気を利かせてくれるからなあ」 「おう。たぶん、その間フランにでも会いにいくんだろ。仲いいもんな」 パンネロの表情を思い出して思わずほころんでしまった。 まるで娘のように見ていた。愛らしい少女だ。 てっきりヴァンと付き合っているのかと思っていたが、本人たちはそう思っていなかったようで。俺としてはそのおかげで、こうしてヴァンと付き合っていられるからいいのだが。 「あ、そうだ。お土産あるぞ」 「お土産?いったいなんだろうな」 「砂漠でみつけたんだ」 「……薔薇の形の石か。珍しいな」 「だろ!なんか気に入ったから」 「ありがとう。嬉しいよ、ヴァン」 「へへ。おう」 小さな薔薇の形の石は、きっと砂で浸蝕されてできたものなんだろう。 広大な砂漠のなかで、ヴァンの目に留まったこの石は幸せだ。 俺は掌のうえのそれを、ヴァンからもらった宝物たちと同じ棚に並べた。 「バッシュのとこにいくそいつは幸せな石だなー」 「どういうことだい?」 「だって、砂に埋もれるだけだったのに。宝物みたいに大事に飾られてさ」 「きみからもらったものはみんな宝物だからなあ」 俺のベッドに座って、足をぶらつかせながらきみは笑う。 同じことを考えていてくれたのが嬉しくて、隣に座ってその目をのぞき込んだ。 額を突き合わせて、互いの瞳の中の互いを見る。 「俺にとっては、きみ自身が宝物だからね」 「……おっさん、言うようになったよな。ヘタレのくせにさ」 憎まれ口も、また愛嬌。ヴァンは俺の頬に触れて、首を抱き寄せてくれる。 そのまま鼻を擦り合わせてキスをして、ベッドに押し倒す。 しばらくぶりの甘い時間だ。誘われては我慢ができない。 「抱いてもいいだろうか」 「……そこは、聞くとこじゃねーだろ」 拗ねたように尖る唇をキスで塞ぐと、それでいーよ。と言いたげに瞳がゆるんだ。 おしまい PR この記事にコメントする
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